呼吸をしていることを意識することは少ないかもしれませんが、人間にとって呼吸は体と心の健康に大きく関わっています。
健康のために呼吸法を取り入れている人も多いと思いますが、私もそのひとりです。
「もっと呼吸をしなさい」
オノ・ヨーコがはじめてジョン・レノンに会ったとき、こう言ったそうです。
とても深い言葉ですね。
今回は呼吸についてのお話を取り上げます。
呼吸は吸うのと吐くのはどっちが先?
呼吸は「吸ってから吐く」ものでしょうか?
それとも、「吐いてから吸う」のでしょうか?
健康管理に呼吸法を取り入れている人は知っているかもしれませんが、あまり意識したことがない人の方が多いと思います。
そんな場合は「呼吸」を「吸気(きゅうき)」と「呼気(こき)」にわけて考えるとわかりやすいです。
「吸気」は息を吐くことであり、「呼気」は息を吸い込むことです。
字からはちょっとわかりにくいですが、「呼吸」とは「息を吐いてから吸う」、これが正しい呼吸法です。
息を吸ってから吐くという呼吸法もありますが、本来の「呼吸」とは書いて字のごとくです。
呼吸と自律神経
人間は1日に2万回以上呼吸をしているそうです。
呼吸を意識しても、意識しなくても、生きている間は呼吸をし続けています。
理由なんて考えたことないかもしれませんが、なぜなんでしょうか?
呼吸は自律神経と関係しています。
自律神経は、あなたが意識しようと、しまいと関係なく働き続けている神経です。
簡単にいうと、自律神経は人間の意志ではコントロールできないものです。
例えば、心臓を動かそうと思って動かしているものではありませんよね(止めようと意識しても止まることもありませんが・・・)。
食事をした後、食べたものを胃で消化させようと意識している人もいないと思います。
心臓も胃も自律神経が働いていることで、それぞれ機能しています。他の臓器や体温調節、発汗なども自律神経が司っています。
呼吸も自律神経が司るもののひとつですが、実は、自律神経が司る機能の中で、呼吸は唯一、人間の意志でもコントロールすることができるものなのです。
呼吸は自律神経で唯一コントロール可能
呼吸は意識していなくてもできます。
寝ている間も呼吸は休むことなく続いています。
しかし、呼吸は意識してゆっくりと深呼吸したり、止めてみたりコントロールすることもできます。
このように呼吸は、自律神経が司る機能の中で、唯一コントロールすることができるものです。
自律神経には、交感神経と副交感神経のふたつがあり、息を吸う時は交感神経が優位になり、吐く時には副交感神経が優位な状態になります。
交感神経は、体を活動させる神経であり、息を吐く時は交感神経が優位になっています。
反対に、息を吐く時には副交感神経が優位になっています。
副交感神経は、体が休息しているときに働く神経で、リラックスしている時には副交感神経が優位になっています。
呼吸と体と心の関係
呼吸は生物が生きていくために絶対に必要なものです。
また、呼吸は体や心の健康にも大きく関わっています。
息をするとき、ゆっくりと深く酸素を吸い込むと、全身に新鮮な酸素が行き渡り、血行が良くなり、体も心もリフレッシュすることができます。
反対に、ストレスを感じている時は、いつのまにか呼吸が浅くなっています。
呼吸が浅いとは、肩や胸だけで行っている呼吸で、肺の一部にしか酸素が行かなくなり、血液中の酸素が不足してしまいます。
呼吸が浅い状態が続くと、交感神経が優位に働くようになり、体のあちこちに支障をきたします。
このように、呼吸が浅いと自律神経に影響を及ぼし、ストレスを増幅させてしまいます。
人間の呼吸は、感情と密接な関係があり、心身が緊張した状態の時は、呼吸は浅くなり、リラックスした状態の時は、呼吸は深くなります。
リラックスするための呼吸法
呼吸には、多くく分けて「胸式呼吸」と「腹式呼吸」があります。
どちらにもそれぞれ効果がありますが、リラックスすることを目的とした場合には、「腹式呼吸」の方が効果があります。
「腹式呼吸」は、吐く息に重点をおいて、副交感神経を優位にさせる呼吸法です。
副交感神経の働きが優位になると、体も心もリラックスすることができます。
「腹式呼吸」には、体と心のリラックス効果があるだけではなく、疲労の軽減、肩こりや腰痛の解消にも効果があります。
また、ストレスを感じている時に「腹式呼吸」を行うことで、リラックス効果があらわれ、ストレスを軽減することにもつながります。
反対に、「胸式呼吸」は、ラジオ体操の深呼吸の時に行う、肋骨を大きく広げて息を吸う方法で、吸う息に重点をおく呼吸法です。
息を吸う時は、体を活動させる交感神経が優位になりますので、体を動かすスポーツをする時や頭をスッキリさせたい時に効果があります。
ラジオ体操で「胸式呼吸」を行うのは、朝に体と頭をスッキリさせて、活動的な状態にさせるためです。
最後に
呼吸が人間の体や心に大きく影響を及ぼしていることをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
呼吸はとても奥が深いものです。
普段意識することが少ないものだからこそ、意識して行うことで、さまざまな影響があります。
あなたも、一日のうち、少しだけでも意識的に呼吸をしてみませんか。
もしかしたら、いつもなら気づかないような、大きな発見があるかもしれませんよ。